3DCADを中心としたコンカレントエンジニアリングの取り組み
サンヨー電気 河田 宏
 近年、電気製品の価格破壊が進んでおり、VTR、テレビなどはかなりの勢いで価格が下がっている。
 現状では数十%の向上ではなく、数十倍のオーダーでの開発期間短縮が必要とされており、これに対応するため、チャレンジ21というプロジェクトを進めた。エンジニアリングプロセス、ビジネスプロセス、資材購買の3つの改革が行われた。
 全社CE推進プロジェクトを実施した。技術者の時間の75%は火消し(手戻り)に費やされていた。これを改善するため、3DCADを導入した。3Dデータは誰が見ても同じように理解できるので、情報共有の点で大きな利点があり、その結果、早い段階でフィードバックできるようになる。また、商談にも利用できる。2次元CADは本質的にはドラフターと同じであり、情報共有には不向きである。
 3DCAD定着のために、幹部セミナー、集合教育、資格認定制度、早期育成制度などの取り組みを行った。この結果、開発期間は、液晶プロジェクターで69%、デジタルカメラ43%、携帯電話57%まで短縮できた。中国では歴史が短い会社が多く、初めから3DCADで設計しているところも多い。中国のある企業では3DCADトレーニングルームが整っており、3Dデータを工程指示書に利用するなどしている。今後、中国と仕事をするためには3Dデータが必要だと思われる。また、中国のこの状況は、過去のしがらみがない分、これからの企業の効率化について日本よりも有利な点を有することに留意する必要がある。
 現在、新たなプロジェクトSmart21を進めている。製品開発力、製造力、品質向上を2-3倍にすることを目的として、QFD、TRIZ、タグチメソッド、CAD/CAE、ナレッジマネジメント、WEBを利用したプロジェクトマネージメントツールなどの導入を行っている。

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