マイクロマシン研究の現状と動向
S54、三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 武田 宗久
マイクロマシンセンター製作のビデオによる各テーマの紹介
マイクロマシンは、1988年、カリフォルニア大学で静電マイクロモータを造ったのが始まりであり、これは通常、MEMSと呼ばれ、犠牲層技術と厚膜形成技術、高アクペクト比加工技術が可能になったことによる。
マイクロマシン加工技術の特徴は、数10〜100μmの加工で、3次元(2.5次元含む)の構造を持ち、Si以外の金属や機能材料を含む。また、高アスペクトで多層技術、フレキシブル技術、アレイ化の特徴を持つ。
加工技術の具体例として、フォトファブリケーション(写真製版技術応用)や非フォトファブリケーション(ビーム加工、放電加工、機械加工)などがある。
産学プロジェクト研究開発体制
  通産省(現経産省)の元でアクチュエータ技術、エネルギー技術、センサ、制御、微細加工、組み立て加工、マイクロ機構などを5年間進め、その後の5年間で、作成した各パーツをシステム化し、発電システムの管内移動環境認識試験システム、細管群外部検査システム、マイクロファクトリ、機器内部作業試作システムなどを構築した。
三菱電機が検討したマイクロ電磁モータは、3次元コイル巻き線が技術的課題であり、フレキシブルフィルムの形成、絶縁層の残留応力の緩和、多層コイル形成技術(高アスペクト比エッチング)の開発を必要とした。
フレキシブルコイルはシリコン基盤の上に絶縁膜の残留応力制御による厚膜を形成し、反りの発生を防止した。
また、ECR-RIEによるドライエッチング、メタルマスク、CHF3導入による側壁保護、装置温度の最適化を必要とした。また、組み立て情報を部品内に内在化させ、磁気吸引力と極性の利用、斜め露光による3次元構造体の開発により、微小なモータのブロック組み立てを可能とした。
このモータを用いて、多数分散型システム(小型化、協同作業の実現、1ユニットの小機能化)の駆動デバイスに用いた。これは、モータを使用して、減速機構およびマイクロコネクタによる協調作業の実現、探傷センサ搭載するもので、大きさ5×9×6.5(mm)の大きさで総重量0.5gである。これらのシステムを用いて、原子力発電所内の熱交換器用配管のメンテナンスロボットなどを構築する予定となっている。

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