予見制御法によるコンベア追従制御の実現
(株)クボタ 小畠 敬良
 パネル工法に用いる壁材で、セメント系厚み25mm幅900mmの煉瓦調の意匠面において、直進性を要求される。幅900mm内で柄曲がりを3mm以下とするために原因の解明・製造ラインの改良を実施した。
 製造ラインは、模様付けロールにより壁材を押し出し、その生板を第一コンベアから第二,三、四コンベアで搬送する。まず、これらのコンベア間の平均速度差が模様歪みの原因と考え、第四コンベアの速度を変えて、コンベアを乗り移る時に壁材にかかる張力を変化させた。この結果、柄曲がりが増加するが、速度を最適調整しても柄は3〜6mmほど歪み、目標を達成できなかった。そこで、コンベアの周期的な速度変動に着目した。
 生板は引張力と圧縮力で歪み量が異なるため、速度変動が発生すると柄が曲がると考えられ、これを確認するために、現行と現行よりも大きな速度変動をコンベアに与えて壁材を比較した。速度変動の振幅値に比例して柄の曲がりは大きくなり、変動量を低減すれば目標を達成できると考えられた。そこで、まず、機械的な対策により、コンベア間の速度差を無くし、振動を極力下げ、画像処理利用による自動検出やレーザドップラ
ー速度計によるコンベア速度を把握した。この結果、柄を押し出す際に抵抗が変化し、模様付けロールの速度が2〜5Hzで変動することが判明した。ローラを一定速度で稼働するにはモータのトルクUP、剛性UPが必要となり、コストが高い。そこで、コンベア速度を模様付けロールの外周速度変動に追従させる制御を行った。
 第二コンベアの応答を調べると、2.5Hzに共振を持つゲインが得られるので、フィードバック制御すると位相が大きく変化し、制御が困難である。そこで、模様付けロールの周速変動パターンを見つけ、ローラーのエンコーダによる角度、コンベアのボード線図からロール速度と一致するようにコンベアの速度を予測制御した。この結果、柄の曲がりは目標値以下となり、33%の生産性向上、一枚当たり180円のコスト削減ができた。

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