会長就任挨拶
   
 世の中がバタバタし、大学の人間にも常に外部から見える形の短期の業績が求められ、研究成果をあまり賢くないマスコミにも受けるようにしなければ、兵糧責めに合うご時世になりました。学生の人間教育、先輩とのつながりの同窓会に、現役教員が参加しにくいこのような状況になって、すでに久しくなります。それでも同窓会を何とか大切にしなくてはもったいない。
 このようなご時世の中で、京機会が大いなる社会性を持って発展できるよう、産業界で実績のあるOBの会長のご努力が続きました。そのお陰で、京機会はしっかりと組織化され、活動は大きな活性を得ることができました。
 今般、会長をお引き受けした私は、ずっと大学にいた井の中の蛙。企業の経験がなく、京機会の経営も今までの諸先輩会長のようにうまくできないかも知れません。しかし、大学のより近くにいると言う利点を生かし、大学と卒業生との間の連携をより深め、卒業生が「京大の機械に学んで、本当に良かった」と思える手助けが出来ればと思います。
 京大機械系教室は、最高の機械技術・知識の基盤であり、日本の機械技術を支える人材養成の場所であったし、これからもそうでなくてはなりません。その京大機械系教室の現役を支えるOB組織としての京機会、社会人となってからの活動を支えるネットワークとしての京機会、学生に社会の現実を教え社会と結びつける仲介人としての京機会、でありたく思います。京機会のOBほど京大機械系教室を愛している人達はありません。
 現役とOBの連携がうまく機能するためには、「人の絆」が必要です。
 このクソ忙しい昨今、同窓会活動は時間の無駄だ、と考えることも多々あるかと思います。しかし、目先の利や効率のみにしか価値を見いだせないのは、本当に大切なものに気を付けさせず、結果として、長い間には大きな物を失ってしまう恐れがあります。
 一見、無駄と思えるような、お喋りをし、一緒に遊んで過ごす時間が「人の絆」をつくり、大切なものに気を付けさせてくれる大きな機会です。利だけで結びついている関係ではない学年同窓会。それらが縦に繋がる組織としての京機会。同じ教室に学んだという、お互いを理解し易くする学生時代のバックグラウンドがもたらす話のし易さ。これらは得難い人的ネットワークであり、これはすなわち情報ネットワークです。
 そのような場所が京機会でありたく思っています。              
                                           
  平成21年6月吉日   
                                     京機会会長 久保 愛三(S41)


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