■京都大学機械系工学教室第二世紀記念式典次第
INDEX

●教室公開  ●記念碑の除幕とレセプション ●第二世紀記念式典 ●記念講演
●記念祝賀会 ●年度別出席者

京都大学機械系工学教室第二世紀記念式典および関連事業のご報告


京都大学機械系工学教室第二世紀記念式典が平成12年7月14日(金)、京都ホテル(4階、暁雲の間)において開催されました。当日は機械系工学教室が創立後、初めて世に卒業生を輩出した日からちょうど百年にあたる佳日であり、天候にも恵まれ、会は総勢183名の出席者を得て盛大に挙行されました。なお、前日の7月13日(木)には教室公開、記念碑の序幕、レセプションの記念式典関連事業も機械系教室にて行われました。
教室公開

記念式典の一環として、装い新たになった物理系校舎、2号館、工場棟における研究室、実験室、ならびに共通施設としての、情報処理演習室・学生実験室・CAD室・電子顕微鏡室・物理工学系図書室の公開も行った。各研究室には、事前に研究概要とそのミッションステートメントを用意していただき、ガイドブックとして来訪者に配付した。研究室の公開では、学生諸君の日ごろの研究室生活のありのままを見ていただく貴重な機会になったとともに、研究内容を紹介するパネルの展示や実験・デモンストレーションなどそれぞれの工夫を凝らして研究を諸先輩方にご紹介することができた。来訪者の先輩の方々には、自らの研究室時代に思いを馳せていただくと同時に、当時からの研究内容や研究室風景そのものの様変わりの実際を十分に実感していただけたようである。
公開場所が大きく三ヶ所に亘って分散しており、時間的にも当日午後2時から除幕式までの限られた時間帯であったこともあり、なかなか公開施設をすべてご覧戴くことは難しかったのではと思う。それでも研究室では大先輩が若い学生を捕まえて話し込んでおられる風景も至る所で見られ、孫とおじいさんという年格好での会話もはずんでいたようで、まさに世代を超えた貴重な交流の場になったと考える。
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記念碑の除幕とレセプション

午後4時40分より、中庭に設置された記念碑の除幕式が行われた。幸い、この季節としてはしのぎやすい気候の中で、島進教授(S40)の司会のもとに、「老若男女」ということから、奥島啓弍(S12)、椹木義一(S14)両名誉教授、最若手の助手ということで斉藤元浩君(H8)、矢部研博士課程学生平山朋子さん(H9)の合計4人により序幕が行われた。その様子が写真からご想像いただけるであろう。なかなか立派な記念碑であり、後世に残るであろう。

続いて、会場を玄関ロビーに移し、レセプションが行われた。そこには桂キャンパスの立体模型も置かれ、先輩方や学生ともに移転後の姿に思いを馳せた。缶ビールなど飲みながらの気楽な歓談が行われた。通りがかりの学生も参加して、大先輩から昔の海軍の話を聞くなど、得難い機会でもあったようである。先輩・現役の交流の場として有意義であった。topに戻る

第二世紀記念式典

吉村 允孝 氏
受付の様子
記念式典は当日、午後1時30分から、吉村允孝(S43)・精密工学専攻長代理の司会のもとで挙行された。

まず、駒井謙治郎(S38)・記念事業会実行委員長が、拠金状況および記念事業内容を報告し、本事業への支援にお礼を述べるとともに、今後ともご指導・ご鞭撻をお願いしたいと挨拶した。ついで、矢部寛(S35)・機械系工学教室代表が、設立以来の百年の歴史と現在の大学情勢を紹介し、これまでの支援にお礼を述べるとともに、今後ともご支援をお願いしたいと挨拶した。続いて、西八條實(S20)・京都大学機械系工学会会長が、新しい百年でも情報などの分野と融合して重要な役割を果たすであろう機械技術と第二世紀事業会の発展を祈念すると、お祝いの言葉をよせられた。中川哲(S38)・卒業生代表は、機械工学が産業の共通基盤として時代の要請に応え続けること、大学が情報発信・交換の場および知的センターとしての機能と産業界・地域と密着した社会貢献を果たすことを期待すると、お祝いの言葉をよせられた。最後に、北村隆行(S52)・記念事業会計幹事が会計報告を行い、植木努(H元)(公認会計士)・監査が適正と認めたと報告した。
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西八條 實 氏
矢部 寛 氏
中川 哲 氏
北村 隆行 氏

記念講演

司会の木村 健二 氏
 
記念式典に続いて、午後2時30分から木村健二(S51)・機械物理工学専攻長の司会のもと、「産官学連携教育をめぐって」をテーマに、4件の講演が行われた。
小澤三敏(S33)・ 住友重機械工業株式会社社長(現会長)は、京機会副会長でもあり、産業界代表として産学連携に関する提言を行った。まず、最近2年間の経営環境の変化として、以下5項目を挙げ、それぞれ解説した。

小澤 三敏 氏
(1) 意志決定が社長から取締役会へ。
執行役員(社長)と取締役を分け、会長は取締役会の議長としての立場から社長を評価し事業を査定する。
(2) 企業内容の透明性重視。
事業ポートフォリオを示し、財務力を縦軸、競争力を横軸にとり、事業ユニットの位置づけと投資額を投資家に示し判断させる。
(3) 収益拡大から企業価値増幅へ。
事業ユニットのコンピタンスツリーの中で、コアーコンピタンスが企業価値を決定する。
(4) 規制緩和・ボーダーレス競争。
競争相手が国内から世界へ。
(5) 専門化・公正な評価と対価。
「栄え抜きの社長」という時代から、社長も取締役も専門家という時代へ。最後に、実用研究という場で産学連携が模索されれば良い、と産学連携の将来を展望し、あらたなコンピタンスに産学連携を入れて、これから検討するチームを社内に作りたいと提案した。講演後、大学側への要望について駒井教授から、ベンチャー経営について井街教授(S41)から、それぞれ小澤氏のお考えをお伺いしたいとの質問を受けた。

井街宏 氏
井街宏・東京大学大学院医学系研究科医用生体工学講座教授より、医用生体工学としての人工心臓というタイトルで御講演いただきました。まず、医用生体工学が医学と工学の境界領域であるというお話から、人工心臓の研究・開発の課題と難しさについて解説されました。井街先生の研究成果である機械的な補助心臓は世界であわせて7千例以上もの臨床応用例があり、完成の域に達しています。境界領域研究のための十戒等でオリジナリティの重要性を説かれ、最初はすべて自分で作るという方針から医学部学生が工作機械等の設備を使用して実験装置の製作を行っているとのことです。完全人工心臓についても、最初から海外の研究のように完全埋め込み型にアプローチするのではなく、心臓と人工心臓をパラレルにつなぐタイプから、ステップを踏んで解剖学的な要因を排除しつつ、完全埋め込み型に近づけておられています。また、生体自体に人工心臓を制御させるという常識にはとらわれない研究結果(1/R制御)を完全人工心臓移植後532日間生きたヤギのビデオとともに紹介されました。最後に持参いただいた人工心臓で様々な流れが実現できることをデモしていただきました。
小中元秀 氏
小中元秀(H46)・科学技術庁官房審議官 (研究開発局担当)が産学官連携について、官の立場から講演された。初めて「国の出資金は全て回収する」という原則を崩して成果の共有を認めさせたのは、創造科学技術推進制度であり、同氏はこの制度の立上げにも関与されている。なお、産学サイドのインセンティブを上げる「共有」は現在の主流になっている。まず、研究開発活動の現状 (研究費と研究者数の国別比較、など) から、日本では研究者一人当りの研究費が少ないことが示され、出資の平均化の是非が問われた。また、科学技術庁関連の出来事から、現場の品質保証の低下とその回復のための動向、ならびに原因が「突込める人の減少」にある事が示唆された。産学官協力に関しては、問題点、各立場におけるメリットとデメリット、それに対する同氏のコメントが整理され、独立法人化が進んだ時の予想が示された。また、現在、産学官連携を推進している科学技術振興事業団の取組みとして、研究拠点の作成・成果やアイデアの特許化・成果の実用化やベンチャー企業育成支援などが紹介された。最後に、今後の産学官の在り方に関連して、文部科学省発足の影響、文部科学省と現省庁との仕事の対応関係、次期基本計画が紹介された。それによると、出資の重点化、競争的資金の増加、間接経費の増加、若手研究者の独立推進、研究成果活用支援、研究施設の整備が計画されている。

大谷隆一 氏
「第二世紀をむかえる京都大学機械系工学教室のPolicy、 Strategy、 Tactics」と題し、大谷隆一(S37)・機械物理工学専攻教授がそのいくつかは私見と断られた上で、機械系教室の今後取るべき「産官学連携教育」の方向を示された。まず、帝国大学の設置から大学院重点化に至るこれまでの国立大学の沿革と、これらが外部の要請、御上の「お墨付き」のもとに実施されてきたことを紹介された。また、その間、社会における“存在の必然性”を全く意識せず存続してきた大学に対して、今後はアカウンタビリティー(説明責任)の重要性と、そのための大学のポリシー(政策・未来像)構築、学部・学科の専門学問に関するストラテジー(戦略・方針)設定と実行、教官自身の教育・研究に関するタクティクス(戦術・方策)試行の必要性を説かれた。政府も産官学連携研究のテコ入れを図っているものの、どうも御上はScienceとTechnologyを混用しているのではとの疑問も投げられ、Scientific TechnologyでなくScience & Technologyでこそ連携が実を結ぶとされた。すでに関西でもいくつかの大学は産学連携推進体制を整え始めているが、要不要は別に、京都大学にはそのようなセンターがないことを指摘されるとともに、再度「産官学連携のあり方」に関するアカウンタビリティーの必要性を強調された。
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記念祝賀会

午後6時より同じく暁雲の間にて記念祝宴が催された。参加者141名。司会は吉田英生(S53)・機械工学専攻長。まず、第二世紀事業実行委員会を代表して鈴木健二郎教授(S37)から開会の挨拶があり、来賓、出席者への謝辞が述べられた。次に、卒業生を代表して永井将・京機会関西支部長(S31)よりご祝辞を頂戴した。引き続き、奥島啓弐名誉教授(S12)のご発声により乾杯が行われ、その後しばし歓談。午後7時頃から、小寺秀俊教授(S55)より第二世紀記念事業と桂キャンパスについての概要説明が行われた。続いて、井上達雄(S38)・エネルギー科学研究科エネルギー変換科学専攻教授より、エネルギー科学研究科の概要と機械系工学関連教室としてのエネルギー変換科学専攻が紹介された。さらに、片井修(S44)・情報学研究科システム科学専攻人間機械共生系講座教授から、情報学研究科の概要と機械系工学関連講座としての人間機械共生系講座が紹介された。その後再び歓談の時がもたれ、最後に列席者中最年長の仲本豊一氏(S10)の音頭で万歳が三唱され、午後8時頃に和やかな雰囲気の漂う中お開きとなった。
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祝賀会の模様
講演中

祝賀会に招待された方々

年度別出席者
昭和10年〜24年/25年〜31年 昭和32年〜35年/36年〜40年
昭和41年〜43年/44年〜47年 昭和48年〜53年/54年〜63年
平成1年〜8年/平成8年学生
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