第3、4回「リカレント教育」のご報告

京機会秋季大会に合わせて、機械系工学教室第二世紀記念事業のひとつであるリカレント教育(第3回)を、下記のように実施しました。
日 時:
平成13年11月9日(金)13:00〜15:00
場 所:
キャンパスプラザ京都(京都駅前)
講 師:
松久 寛(S45、精密工学専攻教授)
「振動工学の最近の動向とトピックス」
また、関東支部総会に合わせて、リカレント教育(第4回)を、下記のように3講義並列開講で実施しました。
日 時:
平成14年1月26日(土)13:30〜15:50
場 所:
三菱重工横浜ビル3304〜3306室

設 計
松原 厚(S60)
精密工学専攻助教授
「機械設計者のための制御理論とその応用」
材 料
北條 正樹(S54)
機械工学専攻教授
「複合材料の特性と構造材料への応用例の紹介−力学特性を中心として−」
熱流体
田 英生(S53)
機械工学専攻教授
「せん断乱流の数値予測−乱流モデルの考え方−」

吉田 英生 氏
 第4回については、吉田自身も講師を担当させていただきましたので、やや詳しく報告いたします。みなとみらいの33階にセットされた会場からは、天候には恵まれなかったものの、それでも横浜港のすばらしい景色が見渡せ、思わず荒井由美の“海を見ていた午後”を口ずさみたくなるような雰囲気でした。
松原 厚 氏
 講演後、松原氏の講義に参加された方からは、「古典制御の簡単な制御理論を、ボーデ線図を主体に概念として分かるように、送り系を例に取りとても分かりやすく講義していただきました。(中略)現代制御・アドバンスド制御まで順次やっていただけるのを、期待しています。」との感想を、また北條氏の講義に参加された方からは、「北條教授の軽妙な話振りに、しかもテンポ良く進行し、あっと言う間に、2時間半が過ぎました。主として飛行機に使われる炭素繊維と樹脂からなる複合材料の力学特性については自分にとって数年前の、現役時には感じられない程素直に吸収出来たような気がしています。最新の研究内容は論文縮刷も配布され、久しぶりにちょっとアカデミックな雰囲気に浸れました。」との感想が寄せられました。吉田の部屋は他の2部屋に比べて少人数だったのですが、お一人お一人の表情を確認しながら進められた点で、また吉田の説明が不十分なときには途中で質問していただけた点で、ふだんは顔がよく見えない100名を超える工学部物理工学科(機械システム学コース)の学生に授業を行っているのとは全く異なった、貴重な経験をさせていただきました。一部の方には、“大先輩に説法”となってしまって畏れ多くもあるのですが、乱流モデル特有の複雑な偏微分方程式がたくさん出てくる講義に2時間あまりお付き合いいただきました参加者の方々に感謝いたします。
北条 正樹 氏
 最後になりましたが、第4回のリカレント教育は、三菱重工業株式会社の藤川卓爾氏をはじめとする方々の懇切かつ周到な準備のもとに実施されましたことを付記し、お礼申し上げる次第です。
(文責:吉田英生(S53))


第4回 リカレント教育講座開催のお知らせ

関東支部総会に合わせて下記のとおり開催いたします。
日  時:
平成14年1月26日(土)13:30〜15:50
場  所:
三菱重工横浜ビル(ランドマークタワーの隣)

設  計 「機械設計者のための制御理論とその応用」
  −精密位置決め応用を中心に−
京都大学大学院工学研究科精密工学専攻 助教授 松原 厚(S60)
機械系のエンジニアにとって制御理論は難解である一方、制御理論が基礎となっているメカトロ技術はどんどん発展しています。本講義では、ゲインとは?周波数応答とは?から始まり工作機械や一般産業用位置決め装置の設計を例にとり解析と設計の基本的な概念を理解できるようにします。
この講習会は次のようなエンジニアの方向きです
1.
巷に溢れる制御理論の本を読んで挫折感を味わった経験のある方
2.
電気系技術者・サーボ技術者と一緒に仕事しているが、彼らが何を言っているかよくわからない方
3.
これからメカトロ関係の仕事をしようという新人の方

材  料 「複合材料の特性と構造材料への応用例の紹介」
  −力学特性を中心として−
京都大学大学院工学研究科機械工学専攻 教授 北條 正樹(S54)
先進複合材料は軽くて強いという特性を生かし、1980年代半ば以降に開発された大形旅客機の尾翼はすべてこの材料になっている等、航空・宇宙、スポーツ分野で広く用いられている他、機械構造物でも徐々に利用が拡大しています。ここでは、複合材料の力学特性の特色(軽くて強い、設計できる、異方性が大きい)について解説するとともに、応用例を紹介します。また、強度発現の微視的メカニズムについても触れます。数式を使わずに簡単に説明させていただき、専門外の方にも理解いただける内容にしたいと思っております。

物流体 「せん断乱流の数値予測」 -乱流モデルの考え方−
京都大学大学院工学研究科機械工学専攻 教授 吉田 英生(S53)
工学的に重要となる熱流体力学問題は、ほとんどの場合、乱流状態です。乱流は3次元非定常現象ですが、通常は時間平均の流れ場や温度場が予測できれば十分です。本講座では、せん断乱流の基礎的な物理と、上記目的に幅広く用いられている2方程式モデルやレイノルズ応力方程式導入の考え方を説明します。

現在、下記テーマを準備しています。ご利用下さい。連絡は京機会事務局まで。

リカレント教育テーマ
担当者
基礎シリーズ
最近動向シリーズ、トピックス
松久 寛
(S45)
 振動工学の基礎
(6時間)
制振の最近動向
(1.5時間)
機械音響、騒音の基礎
(6時間)
ゴンドラや船の揺れを止める(2時間)
吉田英生
(S53東工大)
熱力学の基礎 (6時間)
マイクロガスタービンを中心とする
分散型電源 (1.5時間)
伝熱学の基礎(6時間)
地下圧縮空気エネルギー貯蔵
について(1時間)
大気科学(6時間)
マイクロポンプの開発(1.5時間)
落合庄治郎
(S46)
複合材料の基礎(4時間)
複合材料応用の実用動向(2時間)
松原 厚(S60)
送り駆動系の設計と制御
(6時間)
加工適応制御は有効か?(1.5時間)
立花明知(S49)
一般化学の基礎(6時間)
ab initio MDの実用動向(2時間)
電子軌道の基礎(6時間)
ナノワイアーの第一原理計算(2時間)
北條正樹(S54)
複合材料の基礎(4時間)
複合材料の構造材料への
応用とその特性 (2時間)
固体物性学の基礎(6時間)
力学特性評価と試験法標準化(1時間)
木村健二(S51)
 
イオンビーム技術の動向(1.5時間)
原子レベルの表面分析(1時間)
井手亜里(S52)
(エクテサビアリ)
 
粒子線の研究・応用の最近の動向(2時間)
小寺秀俊
(S55)
有限要素法の実習付き講習会
(4時間)
マイクロマシンの研究に 関する最新動向
(2時間)
中部主敬
(S56)
熱・物質輸送現象論の
基礎(3時間)
最近の熱流体計測(1.5時間)
燃焼工学の基礎(3時間)
噴流の衝突伝熱特性と自励振動を
利用した 伝熱制御について(1時間)
久保愛三
(S41)
Mechanical Power Transmission
のトアブルシューティング
(損傷原因と対策)(6時間)
Mechanical Drive System のトレンドと
関連技術の問題点(1回1時間程度)
機械部品の損傷モード、
原因、対策(6時間)
 
機械部品、工具等の3次元作用面の
形状精度測定法の基礎(2時間)
 
歯車の小形、軽量化、
高容量設計法の基礎(2時間)
 
歯車の低振動静粛化設計法
の基礎(2時間)
 
技術・経済・政治・人間(6時間)
 

今後、更にリカレント教育のカリキュラムを充実させていく予定ですので、ご期待下さい。また、ご希望のカリキュラム内容がございましたら、京機会事務局までご連絡下さい。