会長就任挨拶

小澤 三敏 (S33)
坂戸前会長の後を引き継いだ小澤です。宜しくお願いします。5月末に神戸に転居したので京都大学が近くなりさる7月24日の第17回関西支部産学懇話会に出てみました。内容は別途報告を見ていただくとして、現状の問題点の核心に触れた講義とディスカッションがハイレベルで行われました。即ち企業側、大学側の現状と将来展望を基に学生の教育とキャリアに対する討議が京機会というOB会の場で、しかも京機学生会も参加して行われて、私が会長を引き受けたときから問題としていた事柄が率直に議論されたことに驚き感激しました。このように京機会の活動は関西支部中心の活動が創立100周年頃から特定の先生方とOBの方々の努力で活発になり、支部の増加、COEを初めとするセミナーの開催、学生会の誕生等その内容も充実してきました。しかしながら機械系全体の先生方の巻き込み度合いや京機会会員全体の活性度合いは残念ながら高まっていません。機械教室においても、COEや教室改革等の取り組みが強力に進められていますが、京大の機械がこれから起こる大きな変化に対応して生き延び発展してゆくためにも、京機会の活性度を上げ、教室と両輪となって邁進する必要があります。
 今春、既に大学は法人化されました。当然その運営資源は先生個人の働きでは不足し、大学として研究や教育の結果を出さなければ得られなくなります。また大学のお客様は国ではなく、学生であり社会になってきます。企業に関しては既に株主資本主義の世界に入り、会社のM&Aや分社化が世界レベルで行われ、年功や出身校のネームバリュウは役に立たず、成果を中心とした実力社会となりつつあります。安住の場と考えていた大学や企業で自分の好きな人生を送ろうと言う人生観が成り立たなくなって来ています。慌てて自分の周りに知恵を求めても、簡単に得られない環境になっていることに気づくでしょう。近い将来確実にやってくる変化に現体制下では何も出来ないと言う危機感を持たれた先生方とOBの方々が、その解決策を模索する重要な場の1つに京機会を選定しておられると私は理解しています。
 機械という分野は基礎学問や技術に種々の応用分野が複雑に絡み合った非常に範囲の広いもので、特定分野でノーベル賞や200億円の特許実施料を請求出来る領域では無いようです。しかし逆転の発想でこのエンジニアリング的性格は重大な変化に対応するには最適であると信じてその特色を捉え問題解決を図る活動が行われつつあると思います。その過程で徐々に明らかになってきた事は、我々は旧帝大の位置や大企業の安定した場に影響されたせいか、自己中心の偏屈屋になっていることに気づいていないことが多いということです。またこのままで行くと現在の学生までも問題が出てくる可能性があるということです。京機会は意志決定機関では無く、単なるコミュニケーションの場ですが、その利用価値は益々増加してくると信じています。そこで次のようなお願いをして就任挨拶と致します。
1.京機会は競争や利害関係のない唯一最大の場で、 共通にあるのは大学への「恩」だと信じて、これからの変化への対応活動の場に利用すること。
2.現在の活動をさらに活発にして頂くこと。未だ個人主義の人も恩返しの気持ちで、そして必ず我が身に返ってくることを信じて、先ずは活動への参加を会費納入と言う形でご協力頂くこと。
3.活動結果や情報を種々の方法で会員の方々に知って頂き、より多くの方々がそれを利用しながら機械系の特色を自ら発揮して変化を乗り切り社会に貢献出来るようになること。

平成15年度

平成14年度